2016年4月10日ベーゼンドルファー東京展示サロン(東京、中野坂上)にて
伝田正秀ヴァイオリンリサイタルが行われました。
【プログラム】
クライスラー:マルティーニの様式によるアンダンティーノ
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 g-moll Op.26
休憩
實川風ソロ
ドビュッシー:ヒースの荒野
リスト:パガニーニ第練習曲より 第2番 Es-Dur「オクターブ」
サラサーテ:序奏とタランテラ Op.43
:アンダルシアのロマンス Op.22-1
:スペイン舞曲集 Op.23-第1番 祈り
:バスク奇想曲 Op.24
:ツィゴイネルワイゼン Op.20
アンコール
アメリカの思い出、美しきロスマリン、チャルダッシュ
ヴァイオリニストは、読響アシコンで当音楽院ヴァイオリン科講師伝田正秀さん。
ピアニストは、ロン=ティボー国際コンクール3位入賞の實川風(かおる)さん。
まず、伝田さんの演奏について。
前半はブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、そして後半は伝田さんが得意とする
サラサーテ小品集。
ブルッフは、繊細かつダイナミックな演奏で
特にメロディックな部分は、彼の歌心が
思う存分感じられ
聴き手の心に深く染み込む演奏でした。
伝田さんの演奏は一度耳にすると虜にしてしまう魔法が宿っているかのようです。
一音一音に体温が感じられ、音の毛細血管とでも言うべき
音楽の血が見事に全体に行き届いています。
聴くたびに思いますが、彼の作り出す音楽は芳醇な赤ワインの様です。
(やはりホイリゲに足しげく通ったからでしょうか)
続いてピアニスト實川風(じつかわ かおる)さんについて。
コンサートピアノにも関わらず、音量のバランスを絶妙な加減でコントロールし
アコーギク、ダイナミックなど、見事にヴァイオリンと調和していました。
また、強い音でも決して音が割れることのない打鍵は
實川さんの特長と言ってよいでしょう。
個人的にはソロのドビュッシー「ヒースの荒野」が非常に良かったと思います。
多彩な色彩感覚と純真無垢でやわらかく上品な演奏は
南仏カール=シュル=メール時代の
ルノワールの絵画を思い出しました。
今後もファンが増えていくと思います。
ちなみに實川さんは9月からオーストリア・グラーツに留学予定。
これからの活躍がとても楽しみな若手ピアニストです。
最後に本日のピアノ、ベーゼンドルファーについて。
ベーゼンドルファーは、オーストリアが生んだ最高級のピアノメーカーで
その歴史は188年になります。かつてフランツ=リストも愛用し
クオリティはスタンウェイと同等、もしくは上との評価も受けています。
個人的にも非常に好きなピアノです。
中野坂上のサロンでは、試弾もできます。
是非一度訪れてみてください。