Mozarteum モーツァルテウム大学(ザルツブルク)への道  宮崎若菜

皆さん、こんにちは。ピアノ科講師の宮崎若菜です。

今回は、留学のための受験までに準備しておいたほうが良いことを書きたいと思います。

まずは行きたい国を絞ることと語学の準備は早めに始めると良いでしょう。

私はドイツ語圏の学校でしたが、ほとんどの学校が受験時までにドイツ語の資格(Zertifikat Deutsch A2やB1、学校によってはB2) が必要です。

また受験の際にも、英語もしくはその国の言葉で話すことが多少なりとも要求されると思うので、少しでも慣れておくためにも早めに準備しておくと良いのでは、と思います。

そして、行きたい学校・先生が決まったら、一度その先生とコンタクトを取って、演奏を聴いてもらいにヨーロッパに行く、もしくは時間がなければ自分の演奏録音をメールで送る、などして先生に自分を知ってもらう、意思を伝えておくことも大事な準備の一つだと思います。

実技についてですが、私の留学先のザルツブルク・モーツァルテウム大学の修士課程演奏学科ピアノ専攻では、1次試験、2次試験があり、それぞれ約10分の実技試験でした。
1次試験の際に、審査の先生方の前で自己紹介(自分の名前と準備した試験曲)をして、その場で先生方から指示された曲を演奏していきます。

試験曲の内容は、それぞれの学校のホームページに出ています。モーツァルテウム大学含め、ドイツの学校でも多くが、バッハ・エチュード・古典派・ロマン派・近代・現代のジャンルを含めたプログラムを提出・準備することが要求されています。

試験の規定や内容は毎年変更のあることも多いので、経験者からの話だけでなく、必ず自分の目で確かめて、不明な点は事務局に直接尋ねることをおすすめします。

留学は誰にとっても大きな決断で、その第一歩の受験は大きな緊張と不安があるかと思います。ただ、それを経験して自分で切り拓いていくことは、今後自分の中での自信にも繋がるだろうし、考え方や感じ方、受け止め方が豊かに変化していくと思います。

もし留学希望の気持ちがあり、一歩踏め出せずにいらっしゃる方、ぜひ思い切って前へ進んでみてください。そして目標に向かって、後ろを見ずに、ただ時折足元は見て、まずは行動してみましょう。

宮崎 若菜 Wakana Miyazaki

長崎県五島列島生まれ、埼玉県出身。

2012年桐朋学園大学音楽学部ピアノ専攻、2014年同大学研究科ピアノ専攻を卒業。2012年から2015年カワイ音楽教室ピアノ講師を勤めたのち、2015年秋よりオーストリア・ザルツブルグに留学。在学中、ヨーロッパのピアノ導入教材についての研究をして、2017年2月JPTAピアノ教育連盟会報に掲載される。2017年ザルツブルグ・モーツァルテウム芸術大学演奏学科ピアノ専攻修士課程を卒業。卒業と同時に、モーツァルテウム大学、ゲレオン・クライナー教授の正式ティーチングアシスタントとして勤め、2018年夏に完全帰国。

第10回彩の国埼玉ピアノコンクール銀賞。第23回ピティナ・ピアノコンペティション栃木本選第2位、全国大会出場。第20回、第23回教育連盟ピアノオーディション本選全国大会入選。第3回東京ピアノコンクール大学生の部第3位。第7回エレーナリヒテル国際ピアノコンクール第5位。

2012年、2014年、2015年、2017年に埼玉、東京、福島の各地にてソロリサイタルを開催。ピアノ伴奏として、ラ・フォル・ジュルネ新潟2011・2012、シャネル主催ピグマリオン・デイズ2010に出演。2016年、モーツァルテウム大学主催Future MAstersに推薦され出演。モーツァルテウム大学ヴァイオリン科C.カネティス教授に推薦・招待され、2017年”Chamber music academy for string instruments 2017″(ギリシャ)、2018年同アカデミーin Toblach (イタリア)にて公式ピアノ伴奏アシスタントを務める。その他、オーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、ギリシャの各地でソロ・伴奏者として演奏を行う。

これまでにピアノを三村則子、多美智子、多紗於里、吉村真代、鶴園紫磯子、ゲレオン・クライナーの各氏に、フィンガートレーニングを山本光世、御木本澄子の各氏に師事。室内楽をW. レディック、T. クルツ、A. ミッテラーの各氏に師事。

2018年9月より、東京音楽院Konservatorium Tokyoピアノ科講師に就任。