【コンサートレポート】熊谷俊之さん~さやま総合クリニック~

2016年5月14日(土)、さやま総合クリニック(埼玉県狭山市)にて
院内ヘルシーコンサート(出演:熊谷俊之さん)が行われました。

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【プログラム】
1、ヘネラリーフェのほとりで(ホアキン・ロドリーゴ)
2、理性の眠りは怪物を生む(マリア・カステルヌオーヴォ・テデスコ)
3、幻想曲(ルイジ・レニャーニ)
4、ソナチネ(レノックス・バークリー)
5、キューバの子守歌(レオ・ブローウェル)
6、歌と踊り(ルイス・ピポー)

月に一度開かれているヘルシーコンサート。
78回と言う長い歴史の中で、ギターソロはなんと初めてだそうです。
いつもは常連のお客さまが多く訪れる中で、今回は男性の新顔が多い様子。
やはりギターに憧れを頂く男性は多い様です。
(50名を超えるお客さまにお越しいただきました。)

通常コンサートのプログラムは、演奏会場や来場されるお客様の様子を念頭において
決めることが多いのですが、その意味で言うと今回のプログラムは一種の冒険と言えました。なぜなら、病院コンサートは、”病院”という場所が主体であり、そこにお集まりになるお客様は、”ギター”というキーワードではなく、”病院で聴く音楽”
というキーワードでお越しになる方々が多いからです。そういう訳で、演奏家からしますと「耳なじみの小品集」を揃えたプログラムが、多くのお客様に満足いただけるのではないかと考えます。しかしながら、今回のプログラムは、それらを
ほとんど考慮せず、むしろ愛好家向けの構成で、開演前は一抹の不安がありました。

ところが、1曲目の「ヘネラリーフェのほとりで」と言う読むのも一苦労な
曲が始まるや否や、お客様はまるで音楽を吸収するかのようにじっくりと
ギターから紡ぎだされる一音一音に耳を傾けていました。

ギターという楽器は、ピアノに比べると、圧倒的に音量が少ないですが
人間の耳は面白くできていて、小さい音であればあるほど機能が上がり
細部まで聴こうとします。例えば他人の会話でも、大声で話すより
ひそひそ話の方が気になります。心理的な欲求がきっかけとなり
脳から聴覚に指令を出し、大幅に機能を上昇させるのです。

音楽の場合、ただ小さいだけでは当然ダメで、そこには音質、音色
など、演奏者の音楽性と演奏技術が必須条件として存在します。

私はギターの評論家ではないので、聴いたままの感想しか述べられませんが
熊谷さんの演奏は、例え大きなプログラムであれ、普段ギターに馴染みのない
お客様にも音楽の魅力を届けられる演奏家だと思います。

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コンサートは最後まで緊張の糸が切れず、みなさま集中して聴いて
いらっしゃいました。合間合間の解説では時折笑いも漏れ、
演奏者、お客様、楽器の3つが揃った
とても良い演奏会でした。

【コンサートのお知らせ】

そんな熊谷さんが、6月4日渋谷松濤の高木クラヴィアサロンにて
これまた本格的なプログラムを揃えたコンサートを行います。
18:30開演(18:00開場)
チケット:前売り3,500円(当日4,000円)

≪プログラム≫
ソナチネ Op.51/L,Berkeley
ヘネラリーフェのほとりで/J,Rodorigo
モメントス第4番/M,Nobre

チケットお問合せ、お申込みは東京音楽院Konservatorium Tokyoまで。
E-Mail    info@kons-tokyo.com
Phone    090-6448-9324(稲田)
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