ノルウェーの地域音楽家支援制度について

今日は、ノルウェーの地域音楽家支援制度のお話をしたいと思います。
突然なぜノルウェーなのか?と思われる方もいらっしゃると思いますので
簡単に経緯を説明したいと思います。

先日、元日本コロムビア役員(現一般社団法人日本オーディオ協会諮問委員)で
世界で初めてデジタル録音を行った穴澤健明さんとお会いし、録音のことから
楽器のことまで幅広い内容のお話をお伺いする機会を得ました。
現役時代は、欧州の主要ホールで著名アーティストのデジタル録音を多数行ったそうです。

≪穴澤さんについてはこちら≫
http://pr.denon.com/jp/Denon/Lists/Posts/Post.aspx?ID=259

どのお話も大変興味深かったのですが、中でも特に印象に残った
お話しということで、ノルウェーの地域音楽家支援制度をご紹介させて頂きたいと
思います。当ブログの読者には音楽家も多数いらっしゃいますので、是非最後まで
お読みいただければ幸いです。

まず、ノルウェーと聞いて思い出すのが、ベルゲン出身の作曲家エドワルド=
グリーグです。Leipzig音楽院で学びその後コペンハーゲン、オスロ、ベルゲンで
活躍したロマン派時代の作曲家です。ノルウェーには複数の音楽大学がありますが
国立音楽大学はオスロのみで、グリーグの生まれ故郷であるベルゲンには
ベルゲン大学などの一般大学の一部としてグリーグアカデミーがあります。

そんなノルウェーに、今欧米の音楽家の注目を集め、オーディションに殺到するという話題の地域音楽家支援制度があります。どのような制度かと言いますと・・・・
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≪概要≫

過疎地域で音楽を啓蒙し、同時に音楽を若い人たちに教え、大きな都市やより
人口密度の多い地域の子どもたちと同等の音楽的な環境や可能性を確保しようという
考えに基づいて作られた支援制度。

(1)彼らは何をするのか

地域音楽家は、その50%を音楽教育に当て、50%を演奏活動に当てる。
これにより彼らは、地域での音楽学校や高校の音楽の教師、指導員を
務めつつ、コンサート、音楽プロジェクト、学校、幼稚園、教会でのコンサートや
ツアーなどの地域での音楽シーンに貢献できる。彼らは、フェスティバル、コーラス、ブラスバンド、アンサンブル、オーケストラ、その他音楽グループなどの地域の音楽シーンでしばしば共同作業を行い、彼らは地域オペラシリーズ、室内楽フェスティバルでも中核の演奏家となっている。

(2)彼らとは誰なのか

ノルウェーのある県では、15人の地域音楽家が採用されており、この15名は、
3つの基礎自治体に分かれている。

A地域6名・・・女声、ヴァイオリン、ギター、トランペット、フルート、ピアノ
B地域5名・・・女声、トランペット、ヴァイオリン、チェロ、パーカッション
C地域4名・・・男声、トロンボーン、チェロ、ピアノ

どの地域も面接とともに、室内楽演奏、ソロ演奏、子どもの音楽会を含む
オーディションに受からなければいけない。
当然のことながら音楽家のクオリティーは保証されている。

(3)ファンディングとファイナンス

彼らの費用は県が演奏部分の50%(全体の25パーセント)を負担する。
残りの50%の演奏部分は、音楽指導教育部分と共に属する基礎自治体が負担する
(全体の75%)県は支援の見返りとして期当たり一人10日間保持することができ
地域の音楽グループ、アンサンブル、バンド、劇場は、この期間彼らのプロジェクトや演奏会での演奏者として活用できる。その地域のプロジェクトであることが唯一の条件となっている。

地域音楽家は、このような形で県の自治体に集められ、レベルの高い広い領域で
のコンサートや演奏に寄与する。その上、それぞれの基礎自治体は、地域の音楽家
による演奏会やその演奏曲目を提供することになる。

ノルウェーのある県では地域音楽家制度が定着してから、音楽家たちは全世代の
ために広範囲なレパートリーを手に入れる努力をし、さらなるレベルアップを目指している。
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上記が、ノルウェーの地域音楽家支援制度です。

目に見えない音楽を目に見える形で人々に提供する。
その目的は、地域間に生じる格差に捉われることなく、
国の未来を創る子どもたちの教育に貢献すること。

このような制度が生まれた背景には
ノルウェーと言う国が長い間育んできた音楽への理解度が
深く関係していると思います。ですから、今すぐ日本にも、
などと言うのは無理があります。
無理があるのは重々承知ですが、思わないと実現しませんし
そうなるよう少しずつ努力していきたいですね。

穴澤さん、興味深いお話をありがとうございました。

【インタビュー】熊谷俊之 ヤマハ・クラシックギターGC82C(2014)モニターインタビュー

今回はヤマハ株式会社制作の最高ランククラシックギターのモニターとなった
ギタリストの熊谷俊之さんに使用した感想を伺いました。

日時:2016年2月28日
会場:東京音楽院
インタビュアー:飯田敏史(ギタリスト)
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飯田(以下I):モニターとして楽器を手にしてどれくらい経ちましたか。

熊谷(以下K):約一週間ほど経ちました。

I:使用してみた感想を伺っていきたいのですが、例えば、具体的に左手に関してはどのように感じましたか。

K:ネックが薄めでかまぼこ型に成型されていて、日本人に合っていると思います。押さえた感じは自然でした。

I:海外の製品と比べると小型なのでしょうか。

K:ネックの幅が広かったり、厚みがある場合が多いので、削り方によって左手に合う、合わない事があります。今回のギターは薄く、小さめの印象です。

I:ギターをこれから購入する方に向けて、アドバイスはありますか。

K:実際に構えて押さえてみる事が大切です。ギターによって違いがありますので、いくつか比べてみて、個体による違いを認識できると良いでしょう。楽器自体を触った事がない方であれば、経験者の方と同行して比較してもらうと良いと思います。

I:それでは続いて、右手に関してはどうでしょうか。

K:右手で触れる感覚は弦によって変わります。弦を変える事で、まるで違う楽器のように変化します。また、張力の感覚は人によって異なりますので、自分自身で一通り試すと良いです。

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I:今はまだ短い期間ですが、どのような弦を張っていますか。

K:最初はオーガスティンを張っていましたが、自分のギターでも使用しているプロアルテを試しています。この後サバレスも試してみようと思います。

I:楽器本体の重さ、はどうでしょうか。

K:自分のギターよりも軽いと思います。実際に測ってはいませんが、ボディの厚みも薄く、小柄な印象です。

I:続いて皆さんが気になる、音についてはどう感じますか。

K:スタンダードでありながら、音色にバリエーションがあり、温かみのある音だと思います。

I:熊谷さんが感じるスタンダードな音、について具体的に教えてください。

K:伝統的な印象です。最近は現代的な構造で、音の質も昔ながらの楽器からは異なる印象を受けるギターもあります。今回は、伝統的な音を守っている感じです。

I:楽器の作り方に関しても昔ながらの作りの方が好みですか。

K:中身の構造に関しては特にこだわりませんが、音色に関しては伝統的なギターの音色を守っていて欲しいです。その上で例えば、レイズドフィンガーボードなど、新しい構造を取り入れたものは積極的に試してみたいと思っています。

I:音量に関してはどうでしょうか。

K:ギターの中では決して音量が大きい楽器では無いと思います。最近は右手のタッチを強くして音量を出す事に集中している方が増えてきていると感じます。しかし、その弾き方に単純に反応できるギターが良いギターとは限りません。

I:音量だけでは良し悪しを判別できない、という事でしょうか。

K:ある程度の技術が必要だけれども深い音を出したいと思った時に、その音が出てくれるギターが必要です。触れた時に音量が小さいと思っても力任せに弾かないで、音色の幅を確かめたいですね。

I:音に関する全体の印象はどうでしょうか。また、このギターで弾くとすれば、どのようなレパートリーが合うと思いますか。

K:バランスの良いギターだと思います。音色に関しては深い音を持っていて、伝統的な音質ですので、フランシスコ・タレガの曲などが合うでしょうか。

(「ラグリマ」(フランシスコ・タレガ)を演奏)

I:色々考慮してこのギター、どうですか?

K:好きなタイプですね、なんか気に入ってます。

I:気に入った点があれば教えてください。
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K:見た目ですね(笑)。ギターの見た目に関してはポイントがいくつかあって、サウンドホールのモザイクやパフリング(ボディの縁にある帯状の飾り)の柄、ボディの形状などのバランスが、奇を衒わない王道な印象です。ただし、ボディのデザインのバランスに比べて、ヘッドの彫刻やデザインは、やや主張が強いような感じがします。

I :  ここまで、楽器について色々と興味深いお話をお伺いしてきましたが、
やはり百聞は一見にしかず。いや、百閒は一聴にしかず ということで、
熊谷さんの演奏でこのギターを聴いてみたいと読者の方も多いかと思います。
近々このギターで演奏する機会はありますか?

K : よくぞ聞いてくださいました(笑) 実は、4月3日(日)17時より
 東京音楽院にてオーストリアから来日するギタリストFlorian Palier氏
     ジョイントリサイタルを行います。こちらのリサイタルでこのギターで演奏したいと思います。是非お越しください。

I : それは楽しみですね。コンサートのご成功をお祈りしています。
今日はありがとうございました。

—————————————-[ コンサートのお知らせ ]—————————————

第2回ワインと音楽を楽しむ会
日時 2016年4月3日(日) 18時開場 18時30分開演
場所 東京音楽院 新宿区新宿5丁目11-20 伊土ビル202号室
(東京メトロ新宿3丁目E2出口より徒歩3分。医科大通り沿い)
演奏 熊谷俊之&Florian Palier
チケット 3,000円(限定16名)
※グラスワイン1杯付き
お問合せ info@kons-tokyo.com または090-6448-9324
曲目 A.バリオス作曲 全ての祈り 春のワルツ 前奏曲作品5-1
R.ミランダ作曲 アパッショナータ 他

Florian 5

【Florian Palier】
オーストリア生まれ。幼い頃からギタリストである父ヨハン•パリアーにギターを師事する。その後キューバ人ギタリスト、マルコ•タマヨに師事。2015年ウィーン国立音楽大学院でアルバロ•ピエッリのクラスを審査員満場一致の成績で終了。クラシックギタリストとして活動をするパリアーだが、長い間ジャズギタリストとして、その他エレクトリカルな数々なミュージックシーンでも活動し、クラシック以外のジャンルでも音楽経験が豊富である。ペペ•ロメロ、デュージャン•ボグダノヴィチ、ロサンゼルスギターカルテットには特に影響を受ける。ユンディ•メニューイン創設のLife Music Nowメンバーとして活動もしている。

アンナ•アマリア国際ギターコンクール(ドイツ•ワイマール)
クトゥナ•ホラ国際ギターコンクール(チェコ)
ツヴェンツ国際ギターコンクール(オランダ•エンスヘーデ)
数々の国際コンクールに優勝を果たしている。
これまでに欧米を中心にコンサート活動を展開し、台湾ではコンサート以外にもラジオ、TV等メディアにも多数出演している。現在オーストリア•グラーツ市Johann-Joseph-Fux-Konservatorium音楽院ギター科講師。

 

【コンサートレポート】山口友由実さん    ~ウィーン便り~

コンサート・レポート
前回に続き、再びピアニスト・山口友由実さんです。
今回は音楽の都ウィーンよりコンサートの様子をお伝えして頂きました。
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ウィーンでのHaukonzert

ケルンでのハウスコンサートから、すぐウィーンに戻り、2月19日はウィーンで、ヴァイオリニスト前田朋子さんとのハウスコンサートでした。

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こちらのお宅では、昨年9月以来、2度目。なんとウィーンを代表する巨匠ピアニスト、パウル・バドゥラ=スコダさんの息子さんのお宅です。

音楽が大好きな人々が集まるこの場所では、プログラムもとても濃く、今回は19時半に始まり、休憩を挟みましたが、終演は22時半近くでした。私にとっても最長のプログラムで、前田さんとのデュオでは、バッハとシューマン、私のソロはハイドン、ドビュッシー、そしてシューマンの謝肉祭という、家主のルートヴィヒさんお気に入りの曲たちでした。
IMG_1273(山口さんと前田さん)

終演後は、ワインとおつまみで皆さん歓談なさるのですが、お客様や、ルートヴィヒさんやご家族の方が、演奏について「とても詩的に弾いていたね、カーテンをしていたら、日本人が弾いているとは思わない!とてもヨーロッパ的だった」と言ってくださり、私にはとても嬉しいお言葉でした。

またこの場所に戻って来たいな、と願っています。

                                                                                                                        山口友由実
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【山口友由実・プロフィール】

山口友由実(やまぐち ゆうみ)/ピアニスト
東京音楽院Konservatorium Tokyoピアノ科講師

6歳よりピアノ、作曲を学ぶ。日本女子大学附属高等学校を経て、東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業、同大学大学院修了。2009年よりウィーン国立音楽大学にてアヴォ・クユムジャン氏 (Avedis Kouyoumdjian) に師事し、2015年同大学大学院ピアノ室内楽科を満場一致の最優秀で修了。
10歳でテレビ朝日系「題名のない音楽会」に出演。2010年Internationale Sommer Akademie(オーストリア) にてISAピアノ特別賞。また2011年第18回ブラームス国際コンクール(オーストリア)ピアノ部門第3位を機に、ヨーロッパおよび日本各地でのコンサートに招聘され、ソロ、室内楽での演奏活動を開始。オーストリアでは2012年クロスターノイブルク修道院設立900年記念コンサートシリーズのオープニングとしてソロリサイタル、またペーター教会でのモーツァルト演奏会(2011年~)、ベートーヴェン協会主催ガラコンサート(2011年)、墺日協会主催コンツェルトハウスでの演奏会(2012,2013年)、シューベルト生家でのJunge Talente演奏会(2013年)などを行う。2012年3月にはオーストリア国民議会にて行われた東日本大震災追悼式典にて演奏。また2013年文化庁文化交流史・山路みほ氏(筝曲演奏家)とオーストリア、スロベニア、ハンガリー、スロヴァキアで演奏ツアーを行い、高い評価を得る。同年11月ウィーン楽友協会主催の若手演奏家シリーズに抜擢されAevosTrioリサイタル、2014年には同トリオでのイタリア演奏ツアー。日本ではソロ、室内楽のほか、オーケストラとの共演や小学校での公演、また作曲・編曲など、幅広い活動を展開している。

これまでピアノを河内純、秦はるひ、関根有子、岡田敦子、アヴォ・クユムジャン各氏、室内楽を土田英介、アヴォ・クユムジャン、ペーター・シューマイヤー、ヨハネス・マイスル各氏に、作曲を都平有美、青木進の各氏に師事。

山口友由実公式WEB
http://www.yuumi-yamaguchi.com/

ピアノレッスンのお申込み・お問合せはこちら
http://www.kons-tokyo.com/application/
またはE-mailにて info@kons-tokyo.com

【コンサートレポート】山口友由実さん

コンサート・レポート
今回は、ピアニスト山口友由実さんです。
ドイツ、ケルンで行われたハウスコンサートの様子を伝えて頂きました。

IMG_1281(向かって左から、東さん、山口さん、リザさん)

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こんにちは、東京音楽院Konservatorium Tokyoにてピアノ講師を務めさせていただきます、山口友由実(ゆうみ)です。

去る2月14日(日)、ケルン郊外でのハウスコンサートに出演してきました。

ハウスコンサートとは、その名前のまま、どなたかのご自宅でのホームコンサートなのですが、ヨーロッパではよくある習慣でもあり、心温まる空間での演奏会は私も大好きです。

ウィーンではよく出演してきましたが、ケルンでは初!しかも今回のお宅は、ただのお宅ではなく、ドイツでも名高いケルン放送交響楽団の奏者さんでのお宅でのコンサートで、著名な方々も演奏されているとのことで、ドキドキでした。

ウィーンで一緒に勉強を始めた、友人の東あかりさんが、現在同オーケストラのアカデミー生として研鑽を積んでいるご縁で、実現した今回のコンサート。同アカデミー生のドイツ人チェリスト、リザと3人での出演でした。

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(玄関先の様子)

まず、奥様がいつもシーズンに合わせて飾りつけをされている素敵な玄関に迎えられて(今回はイースター)、まずはリハーサル。すでにマイクやビデオもセットされていて、家主さんの気合いを感じました!

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(リハーサルの様子)

東さんとは、フランクのヴァイオリンソナタを演奏。また後半は、リザと3人でブラームスのピアノトリオ第1番という、私の夢でもあった、大曲を演奏しました。

リザとは、特に数日前に初めて会って、共演というドキドキでしたが、ケルン放送局での素晴らしいスタジオで集中して合わせをし、さらに、放送響の第1コンサートマスターの方に偶然レッスンをしていただく機会もあって、最後は熱のこもった演奏が出来たのではないかなと思っています。

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一緒に勉強してきた仲間たちが、それぞれに羽ばたいて、また共演できるということは、本当に嬉しいことで、私もまた頑張らなければ!と刺激を受けました。
次回はウィーンでのコンサートの様子をお届けします。
どうぞお楽しみに!

山口友由実
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【山口友由実・プロフィール】

山口友由実(やまぐち ゆうみ)/ピアニスト
東京音楽院Konservatorium Tokyoピアノ科講師

6歳よりピアノ、作曲を学ぶ。日本女子大学附属高等学校を経て、東京音楽大学ピアノ演奏家コース卒業、同大学大学院修了。2009年よりウィーン国立音楽大学にてアヴォ・クユムジャン氏 (Avedis Kouyoumdjian) に師事し、2015年同大学大学院ピアノ室内楽科を満場一致の最優秀で修了。
10歳でテレビ朝日系「題名のない音楽会」に出演。2010年Internationale Sommer Akademie(オーストリア) にてISAピアノ特別賞。また2011年第18回ブラームス国際コンクール(オーストリア)ピアノ部門第3位を機に、ヨーロッパおよび日本各地でのコンサートに招聘され、ソロ、室内楽での演奏活動を開始。オーストリアでは2012年クロスターノイブルク修道院設立900年記念コンサートシリーズのオープニングとしてソロリサイタル、またペーター教会でのモーツァルト演奏会(2011年~)、ベートーヴェン協会主催ガラコンサート(2011年)、墺日協会主催コンツェルトハウスでの演奏会(2012,2013年)、シューベルト生家でのJunge Talente演奏会(2013年)などを行う。2012年3月にはオーストリア国民議会にて行われた東日本大震災追悼式典にて演奏。また2013年文化庁文化交流史・山路みほ氏(筝曲演奏家)とオーストリア、スロベニア、ハンガリー、スロヴァキアで演奏ツアーを行い、高い評価を得る。同年11月ウィーン楽友協会主催の若手演奏家シリーズに抜擢されAevosTrioリサイタル、2014年には同トリオでのイタリア演奏ツアー。日本ではソロ、室内楽のほか、オーケストラとの共演や小学校での公演、また作曲・編曲など、幅広い活動を展開している。

これまでピアノを河内純、秦はるひ、関根有子、岡田敦子、アヴォ・クユムジャン各氏、室内楽を土田英介、アヴォ・クユムジャン、ペーター・シューマイヤー、ヨハネス・マイスル各氏に、作曲を都平有美、青木進の各氏に師事。

山口友由実公式WEB
http://www.yuumi-yamaguchi.com/

ピアノレッスンのお申込み・お問合せはこちら
http://www.kons-tokyo.com/application/
またはE-mailにて info@kons-tokyo.com

【ひと・インタビュー】フルーティスト荒井美幸さん 

記念すべきインタビュー第一回目は、東京音楽院フルート科講師で
幼児専門音楽教育「森の音楽館」主任講師の荒井美幸さんです。
テーマは、オーストリアの音楽教育と、現在首都圏で展開中の幼児専門音楽教育
「森の音楽館」についてお聞きしたいと思います。

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今日はよろしくお願いします。

荒井: よろしくお願いします。

まずは簡単な自己紹介からお願いします。

荒井:はい。2003年から2013年までオーストリアのウィーン国立音楽大学
器楽教育学部フルート科に在籍し、学士・修士課程を取得しました。
その後帰国し、現在は地元の群馬と東京音楽院、そして保育園で出張レッスンを行う幼児専門音楽教育「森の音楽館」に携わり、東京と群馬の往復生活を送っています。

長い間ウィーンにいらっしゃったのですね。ウィーン国立音楽大学にて学士、修士を取得と言うことは、当然のことながら卒業論文を書かれたのですよね?

荒井:はい。トータルで3つ書きました。

テーマは何だったのですか?また、何ページくらいですか?

荒井:学士は「ドビュッシー、そして彼の誌的音楽について」と
「初期バロック時代からのフルートの開発と要因」
修士は「メシアンの7つの俳諧~日本についての音楽スケッチ」で
こちらは80ページほどでした。

大変興味深いテーマの論文ですね。それにしてもドイツ語で80ページも書くなんて
気が遠くなる作業ですね。

荒井:そうですね。はじめは自分に書けるかと不安でしたが、資料収集をしたり
疑問に思っていたことが自分の言葉で説明できたりと、徐々に不安が自信に変わっていきました。論文担当教授や周りの支えにより、論文が完成した時は、なんとも言えない気持ちになりましたね。

その件は今度またインタビューさせて頂きたいと思いますが、今回はオーストリアの音楽教育、そして今荒井さんが行っている幼児専門音楽教育「森の音楽館」についてお聞きしたいと思います。
荒井さんは日本の音大を卒業されてからウィーンに渡ったわけですが、
日本とオーストリアの音楽教育に差というか違いはありますか?

荒井:はい、差と言うか音楽の捉え方の違いを感じました。
その前に、私が通っていた大学について
少しお話しさせてください。ウィーン国立音楽大学器楽教育学部は、同分野ではヨーロッパの中でも古く、このような学部は実は日本にはありません。当学部では、演奏家を育てる教育のスペシャリストを育成することに重きを置いていて、演奏技術、指導法、心理学、幼児教育、音楽史など様々な分野を学びます。教育実習も行いました。大学の教授陣の教育に対する誇りをとても感じました。世界中から様々なジャンルの講師を招いて頻繁にワークショップを行い、絶えず新しい情報を取り入れています。

なるほど。それにしても色々なことを勉強しないといけないのですね。

荒井:はい、民族音楽の授業では、オーストリアの地方に行き、その土地の音楽と楽器、生活習慣なども勉強しました。

そうなんですね。日本で言うと、外国人がソーラン節を学びに北海道に行くような
ものですね。

荒井:まさにそうですね。ドイツ語圏で有名なのはヨーデルですね。どこの国にも地方の歌があり、その歌から季節感やその場所の風景、雰囲気が伝わってきますよね。民族音楽を勉強することにより、音楽がいかに人々の生活に関わっているかがわかります。あとは、オーストリアはキリスト教国ですから、ミサで賛美歌を歌う際にみんな口ずさむことができるんです。それを聴いたときに音楽と言葉がいかに密接に関わっているかがわかりました。「音楽を理解するには言語を学ばないといけない」と強く思ったのです。これは後にお話ししますが、今取り組んでいる幼児専門音楽教育「森の音楽館」に大きな影響を与えました。

音楽と言語が結びついているというをもう少しわかりやすく説明して頂けますか?

荒井:はい。それぞれの言葉はそれぞれに素晴らしいです。もちろん、日本語には日本語の素晴らしさもありますよね。例えば私が住んでいたオーストリアの言葉はドイツ語ですがアクセント、抑揚などが既に音楽的なんです。フレーズなどを理解するには、言葉のどこにアクセントがあるか、文の中でどの言葉を強調するかなどを理解すると文章が立体的なる。これがそのまま音楽にも言えるのです。

なるほど。音楽は歌が基本ですからね。それ以外に感じたことはありますか?

荒井:オーストリアに来て、音楽の学び方が大きく変わりました。
と言うのも、音楽にアプローチする手段が増えたというか。例えばカール
フィリップ エマニュエル バッハのクラヴィーア奏法やクヴァンツのフルート奏法を原語で読まないといけないとか(笑)音楽の背景をより知りたくなりましたね。資料も図書館や作曲家の記念館に行けばありますし。

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やはり環境や生活スタイルが違うのでしょうか。

荒井:そうですね。そういう意味で向こうで勉強できたのは幸せなことでした。

先ほど教育実習も行ったとおっしゃっていましたが、具体的にどういった内容だったのでしょうか?

荒井:はい、大学または州立の音楽学校で実施され、私が担当したのは
3歳から25歳の生徒でした。大学と大学院合わせて期間は約3年ありました。
フルートは初心者から大学受験を目指す生徒を対象とした実習、それと子どものための音楽教育実習もありました。


それは、レッスンする学生(荒井さん)を教授が指導するという授業ですか?

荒井:はい、正にその通りです。やっぱりはじめは緊張しましたね。一番始めの時はどうして良いかもわからず(笑)でも途中から楽しくなってきましたね。
教授もユーモアを持って指導してくださいましたし。

なるほど。それは貴重な経験ですね。オーストリアの子どもと日本の子どもの違いは何でしょうか?

荒井:向こうの子はミスを恐れません。多少違っていても堂々と意見を述べます。
恐らく様々な人種が混同する国ですから、その分価値観も多様なのだと思います。
このことは大きな衝撃でした。日本に戻ってきてからもそのことは胸に止めて
子どもたちに教えています。
一方で日本の子どもたちは、とても行儀がよいですね。先生のお話もしっかり聞きますし。

子どもの音楽教育について話が及びましたが、今取り組まれている幼児専門音楽教育
「森の音楽館」についてお聞かせください。

荒井:はい。きっかけは「ウィーン国立音楽大学で学んだことを日本に取り入れられないか」と思い、同大学で勉強した同級生と立ち上げました。
もちろん、人種構成や文化が違うので、そっくりそのままもちこむ訳にはいきません。ですから、日本で学んだ事も大切にしながら、
順応する道を探りました。

なるほど。確かにアウトプットの思いだけが先走りしても、インプットできないと
意味がないですしね。

荒井:そうなんです。しかし、少し難しいかもしれないけれども、是非子どもたちに伝えていきたいこともたくさんあり、他の先生と相談して、様々なことに果敢にチャレンジしています。例えばBrahmsやMozartのオペラ「魔笛」の歌曲をドイツ語で教えました。はじめは不安だらけでしたら、3歳~5歳の子どもの言語習得能力はとにかく早い!なおかつ、子どもたちはクラシック音楽に先入観がない!この点が大きかったです。純粋に美しい・楽しいと思った音楽は、すんなり吸収しちゃうんです。歌えるようになったときは本当に感動しました。それともう一つ。これは私たちのこだわりなのですが、元気よく音楽的に歌うことと音程が破たんした状態で叫んで歌うことは全く違います。「この歌はどんな感じかな?」と子どもたちに常に問いかけ、曲想が伝わるように歌うことや、P、PP, mP, <>も表現できるように心がけています。音楽の楽しさはこういうところに隠れていると思いますし、音楽を通じて感受性が豊かになってほしいと思っています。

確かに日本には「叫んで歌う=元気」を良しとする風潮がありますね。

荒井:元気がいいのは良いのですが、曲調とあっていないと意味がないと思います。そういった表現の幅はとても大事ですよね。私たち森の音楽館も絶えず新しいことを吸収するために、1年に一度ウィーンに研修に行っています。昨年は、同僚がウィーン少年合唱団付属幼稚園(現ウィーン市営幼稚園)や私立音楽学校で研修を積みました。今年も研修のためにウィーンに行く予定です。

絶えず勉強という訳ですね。
では、最後になりましたが森の音楽館の今後についてお聞かせください。

荒井:はい。森の音楽館は新しいことを取り入れながら音楽を様々な方向から捉え、子どもたちに伝えていきたいと思っています。それと同時に子どもひとりひとりの個性を大切に伸ばしていきたいです。森の音楽館のコンセプトは、『音楽を通して感性を、外国語を通して知性を、グループレッスンを通して協調性と思いやりを育む』です。この3つを大事にし、絶えず進化していきたいと思っています。音楽を一生の友にしてくれる子どもを育てていきたいと思っています。また、音楽を通じて自分にしかない「何か」を見つけてくれたら嬉しいです。

音楽を通して人間的な成長を、と言うことですね。
今後のご活躍を期待しております。ありがとうございました。
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【荒井美幸・プロフィール】

洗足学園短期大学、昭和音楽大学を経て、2003年ウィーンへ渡る。ウィーン国立音楽大学器楽教育学学士課程卒業、同大学院修士課程修了。バロックから現代即興音楽、劇中音楽、タンゴなど様々なシーンでウィーンを中心に活動をしてきた。2010年11月、自身の所属していたアンサンブル・タンゴカンパニーウィーンがウィーン楽友協会ブラームスホールにて演奏会を行う他、2012年8月 にはオーストリアのバードアオスゼーにて行われたウィーン国立歌劇場バレエ団の 公演、『Begegnung in Aussee,アオスゼーでの出会い』に出演。2013年に帰国し、現在は東京音楽院フルート科主任講師、幼児専門音楽教育「森の音楽館」主任講師、フルーティストとドイツ語通訳として活動中。

子どもから大人まで初心者、熟練者問わず楽しいレッスンが受けられます。
レッスン教室:東京音楽院新宿教室・横浜港南台教室
お申込みはこちら→http://www.kons-tokyo.com/inquiry/

 

 


【コンサートレポート】熊谷俊之さん 

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クラシックギター奏者・熊谷俊之さんが今月14日、
新百合ヶ丘のイタリアレストラン「バジリコ」でランチコンサートを行いました。
この日はバレンタインということで、タイトルは

バレンタインに贈る
熊谷 俊之
クラシックギター
ランチコンサート

開演1時間前に会場入りした熊谷さん。
店内の音響を確認しながら入念にリハーサル。
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熱心に料理の準備をするバジリコ・マスターの菅井さん。
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心配していた天気ですが
前日から降り続いていた雨も、リハが終わるころには青空が広がり、
まるで南国を思わせるぽかぽか陽気に。

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日差しが店頭に降り注いでいます。

プログラムもその天気に合わせたかのように
キューバやスぺインの曲が揃いました。

【プログラム】

シンプル・エチュード
2つのキューバの調べ
グアヒーラ・クリージョ、
サパテオ
2つのキューバのテーマより
キューバの子守唄
(レオ・ブローウェル)

詩的ワルツ集
(エンリケ・グラナドス)

アルハンブラの思い出
(フランシスコ・タレガ)
など

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レストラン・コンサートの良いところは、音楽を間近に体感できるところ。
聴衆がその限られた空間で、半ば独占的に音楽と一体になれることだと思います。

今回のコンサートも例外ではありませんでした。

そして演奏について。
熊谷さんのギターは、一音一音細部まで感情が行き届いていて
なおかつ全体像もしっかりと構築され
彼の音楽に対する純粋無垢な姿勢が感じられる心打つ演奏でした。

日曜の午後を彩る素敵なバレンタインコンサートとなりました。

次回は、ピアニスト山口友由実さんのコンサート from  ケルン便りです。

【レストラン情報】
バジリコ
川崎市麻生区万福寺1-12-3-103
新百合ヶ丘駅徒歩3分
tel:044-577-9713
open:火~日 18:00~23:00

http://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140508/14051346/

【お知らせ】梯剛之、春季マスタークラスを開催します。

2016年3月30日(水)梯剛之氏による春季マスタークラスを開講します。
今回は現役音大生、音大卒業生が対象です。
※年齢上限はございません。

久しぶりにレッスンを受けてみたい。
指導者として音楽の可能性を広げたい。
コンクールに向けてアドバイスが欲しい。

など、様々なご要望にお応えします。

・定員5名
・レッスン代 15,000円(税別)
・レッスン聴講 1時間3,000円(税別)
・レッスンは60分
・マスタークラス開講時間 10時~17時
・場所 東京音楽院Konservatorium Tokyo

【お申込み】
・お申込期限 2016年3月11日
・お申込先 info@kons-tokyo.comまたは090-6448-9324まで
・お名前、住所、お電話番号、プロフィール、曲目、ご希望の時間
を記載の上、お申込みをお願いします。

「梯剛之&Wolfgang Davidデュオリサイタル」オーストリアメディア評

2016年1月23日にオーストリアのリエンツで行われた梯剛之氏(東京音楽院芸術監督)とWolfgang  David氏によるデュオリサイタルの批評が「オストチロル紙」に
掲載されました。
記事PDFはこちら↓をクリックしてご覧いただけます。

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【ご挨拶】東京音楽院開校にあたって

2015年12月、東京音楽院 Konservatorium Tokyo(コンセルヴァトリウム トーキョー)は、新宿に開校しました。
当校は、大人から子供まで、初心者~上級者問わず、どなたでも入校頂けます。

講師陣は、ウィーンなど欧米で勉強した講師ばかり。
少しでもみなさまにヨーロッパの香りを届けられたらと思っております。

また、国内外で活躍するピアニスト梯剛之氏を芸術監督に招聘し、読売日本交響楽団アシスタントコンサートマスターの伝田正秀氏ら、豪華指導陣がレッスンします。

加えて、私たちのネットワークを活用し、国内外の著名な演奏家を招き、演奏会や
マスタークラスなどを開催します。

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