ピアニスト梯剛之さんが日本×オーストリア 友好記念コンサート in レーザッハタール(南オーストリア)に出演しました。

2018年6月9日、オーストリア・ケルンテン州のレーザッハタールで行われた
日本とオーストリアの友好記念コンサートにピアニスト梯剛之(かけはし たけし)さんが出演しました。


ウィーンより車で約4時間、アルプス山脈の山麓に位置する村レーザッハタール。
その名の通り「アルプスの少女ハイジ」の舞台を思い出させる壮大な岩山と、緑豊かな牧歌的な村。牛と羊がとっても似合います。

この村で日本とオーストリアを記念して、友好イベントが行われました。

地元の吹奏楽団による演奏。
ウィーンから在オーストリア・日本大使もご出席されました。

しかし、こんな小さな村で一体どんな日本とオーストリアの友好イベントが?とお思いの方も多いかもしれません。実はさかのぼること数十年前。この村に一人の日本人女性がやってきました。
もともとレーザッハタールは、芳醇な小麦の生産地で、加えてアルプス山脈の急流を利用した水車を動力として、今なお電力に頼らない小麦の製粉を行うヨーロッパでも数少ない地域だそうです。そんなこだわりの製粉方法を背景に、パンの製法も独自の発展を遂げました。日本から訪ねてきたその女性は、レーザッハタールの味に魅せられ、この地で修業し技を習得。その後日本に帰国し、2008年に東京は青梅市にてパン屋を開業し、レーザッハタールの味を継承しているとのこと。

当コンサートは、日本とオーストリアがパンを「かけはし」に、友好の証しとして
開催されました。

レーザッハタールのパンの話を詳しく知りたい方はこちらを参照ください。
≪オーストリア政府観光局公式WEB≫より

https://www.austria.info/jp/旅に役立つ情報%EF%BC%86オーストリアについて/伝統と手工芸/オーストリアの文化遺産/レーザッハタール渓谷のパン作り

日本でも食べられるレーザッハタールのパン。(東京・青梅市)

≪山の麓のベーカリー『木の葉』≫

http://www.konohapan.jp/

さて、話はコンサートに戻し、今回は長年コンビを組んでいるオーストリア出身のヴァイオリニスト、Wolfgang Davidさんとのデュオリサイタル。

前半は、ベートーヴェン・ヴァイオリンソナタ第4番、そしてブラームス・ヴァイオリンソナタ第1番「雨の歌」。実は、ブラームスがこの「雨の歌」を作曲した湖畔の町ペルチャッハはレーザッハタールから車で1時間。偶然なのでしょうか。

そして後半は、リシャルト・シュトラウスのヴァイオリンソナタ。
演奏が終わると、いつまでも鳴りやまぬ拍手に、3曲のアンコールで応えていました。
なお、当プログラムは8月より日本でも演奏されます。詳しくは梯剛之公式ホームページをご覧ください。

終演後に小井沼大使と握手をする梯さん。

大使ご夫妻と梯さん、ダヴィッドさん。そしてわざわざ日本から駆け付けた梯さんのファンクラブメンバー。

ひとりの縁が、新たな縁を生み、やがて国と国の絆へと育っていく。
そこには、食や音楽が「粉」となって、国境や人種の壁を越え、
私たちを繋いでいる姿がありました。
かつて、熱い思いを秘め一人この地にやってきた女性が生んだ物語。
そして、数十年経っても、いまだ終わらぬその物語がレーザッハタールにありました。