初めてフルートを吹く方への基礎講座
~楽器を組み立てる前の準備練習、その②~
こんにちは!東京音楽院フルート科講師田山萌絵です。
前回に引き続き、楽器を組み立てる前の段階の準備練習について
述べたいと思います。今回は映像を取り入れてよりわかりやすく
解説したいと思いますので、宜しければ最後までお付き合いください。
・息をコントロールする練習
今度は今までの練習に、息の方向を加えて練習してみましょう。吐き出す息の種類は最後に練習した大きな風車のイメージです。
まず、顔の前に自分の手のひらを持ってきます。そのときに中指のてっぺんが眉間の間あたりに来るように、手のひらを顔から5センチくらい離したところに構えてください。
<映像1>
次に、唇は余計な力を入れずぴったりと閉じてください。そのまま息を出してみましょう。
どうですか?手のひらのどのあたりに息が当たりましたか?
自然に息を吹いたとき、顔の前に構えた手のひらの辺りに息が当たると思います。それがフルートを吹くのに一番きれいな息です。
ではそのまま何回か、息を吹いてみましょう。
毎回どこに息が当たるのか、確認してくださいね。
どうですか?同じところに当たっていますか?
当たる場所が変わってしまった人は、息のスピードはどうでしたか?強くなったり弱くなったりしていませんか?もし息の速さや強さが変わってしまっていたら、毎回同じような強さで吹けるように手のひらで確認しながら吹いてみましょう。
息の感じは変わらないのに、毎回息の当たる位置が違う人は、唇の形を自分で変えてしまっていないかどうか意識しながらもう一度練習してみましょう。もしくは脱力しすぎて唇が息の力に耐えていないようでしたら、ほんの少しだけ唇をぴったり閉じる力を強めてみましょう。小さな子に「おすまししてね。」と声をかけたときにするような、お行儀のいい表情の時の口をイメージしてください。でも、ぎゅっと強く閉じすぎないように気を付けてくださいね。あくまでもリラックスが大事です。
この記事の前半でも書きましたが、フルートを吹くときは、音を出す部分に息を当てるために、唇だけで息の通り道を作って幅わずか数ミリの的に当て続けなくてはいけないのです!!
自分の意図しないままに息の勢いが毎回変わってしまったり、息の方向が毎回ずれてしまうようでは、思い通りの音を出し続けることはできません。まず安定して息を吐けるようになることが大事なのです。
安定して息を出すことに慣れてきたら、何秒吹き続けられるか測ってみましょう。
では、まずは5秒。
1,2,3,4,5,,,,どうですか?伸ばせましたか?
簡単だった!という人は10秒に挑戦してみましょう。ただし、息の勢いは変えないでくださいね。
1,2,,,,,,,,10,,,,,,いかがでしたか?初めて挑戦した人には、少し大変だったのではないでしょうか?
大変じゃなかった人は、もしかしたら息が弱すぎたのかもしれません。それでは力強い張りのあるいい響きの音は出ませんよ!もしくはとても強靭なフルートにぴったりな肺をお持ちなのかもしれませんね。羨ましい限りです。
とにかく最初は、この息の練習を繰り返してみましょう。
・頭部管で吹いてみよう
慣れてきたら頭部管だけを使って、音を出してみましょう。
<映像2>
レッスンに通っている人は、自分がまっすぐ息を出しているところに、先生に手伝ってもらって頭部管を唇に当ててもらってみてください。
そのとき、手のひらで練習していた息から方向から、無理やり下のほうに息の向きを変えないように気を付けてください。息の束がまっすぐに出ていたら、そこにちょうどいいところに楽器をあてるだけで、とてもいい響きの音が出ます。
お一人で練習している方は、目をつぶって両手で頭部管をもって、息が出ているところにそっと頭部管を当ててあげましょう。そのときに顔は動かさないでくださいね。フランス料理のフルコースを食べているように姿勢を崩さず、きちんと料理を口まで運ぶように、楽器を口元まで持っていってください。音が出なかったとしても唇を捻じ曲げたり、顔の向きを下にしたりしないでください。首から上は、息を出すマシーンになったようなつもりで、毎回同じように息を吐き出してください。そこに毎回同じ角度でちょうどいい場所に頭部管を当てられるようになったら、きっとこれから一生いい音を出し続けられるようになりますよ。
もちろん、もう楽器で音を自在に出せる人は、楽器をすべて組み立てて曲を吹いたり、楽しい練習も進めてください。ただし、音色や息に不安がある人は、ちょっとした時間を見つけてぜひこの手のひらに息を当てつづける練習をしてみてください。
今練習している曲に調子を合わせて、息を吹くイメージの練習をしてもいいでしょう。音の高さによって、息の勢いは変わってきますね。その音にちょうどいい息が出ていますか?ぜひ手のひらを使って確認してみてください。
フルートの教則本は世の中にたくさんありますが、多くの教則本は楽器を組み立てから(音が出るようになってから)について書かれています。
私が今までレッスンしてきた中で、初めて楽器に触れる方に一番必要なことは、楽器を組み立てる前の息のコントロールの練習であると感じてきました。
これらの練習をぜひ日々の練習に役立てて、フルートを持つ時間がもっと楽しいものになることを願っています。
百聞は一見に如かずといいますが、実際のレッスンではこのようなまどろっこしい説明はなく、30分ほどでしっかりした音を出せるようになります。
楽器の貸し出しもありますので、まずは気楽に体験レッスンに遊びにきていただければ嬉しいです。
そして来月6月18日に、~ワインと音楽の時間~と題した演奏会をさせていただきます。チケットは残りわずかです。
日時:2016年6月18日(土)18時開演(17時30分開場)
場所:東京音楽院 新宿5丁目11-20 伊土ビル202
(東京メトロ新宿三丁目駅E2出口徒歩3分)
チケット:3,000円(当日3,500円)
※グラスワイン一杯付き(オーストリア直輸入)
【プログラム】 フルート:田山萌絵、ピアノ:稲田俊介
W.A. Mozart /モーツァルト Rondo in D,KV Anhang 18、ロンド ニ長調 F.Schubert/シューベルト Sonate in a “Arpeggione”,アルペジョーネ ソナタ
P.Gaubert/ゴーベール Nocturene et Allegro Scherzando
ノクターンとアレグロスケルツァンド
J.Mouquet/ムーケ La Flute de Pan, パンの笛
第三回ワインと音楽を楽しむ会
(チラシPDF)
みなさんに演奏会やレッスンで、お目にかかれる機会を楽しみにしています!