ウィーン音楽研修 その① 音楽を愛せよ。そして楽譜に忠実であれ。

東京音楽院Konservatorium Tokyoの稲田です。
4月26日より7日間の日程で、ウィーンにて音楽研修を行っています。
研修の課題は色々ありますが、大きく分けて二つ。
一つ目は現地の幼児音楽教育の視察。そして二つ目はウィーンフィルハーモニー管弦楽団や世界的ピアニストで指揮者のDaniel Barenboim氏、Marta Argerichら超一流の音楽に触れること。

26日夜にミュンヘン経由で無事ウィーンに到着。気温5度以下というこの時期には
珍しい寒さ。出発時の東京の気温が20度だったので、身体に応えます。

さて、早速翌日朝からウィーンフィルのリハーサルに立ち会わせて頂く事に。
この日の曲目はBruckner交響曲7番、そしてBeethoven交響曲7番。
指揮は今年80歳を迎える巨匠Zubin Mehta氏。
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Musikverein(楽友協会)の大ホールは、その音響は世界一と言われています。
形はよくある縦長のシューボックス型ですが、ではなぜ世界一なのか。その秘密はまた別の機会にお話しします。

世界最高峰のオーケストラを世界最高峰の指揮者、そして世界一のホールで聴けるのはこの上ない経験。まして曲目は当ホールで指揮をしたこともある
Brucknerと、ウィーンで活躍した作曲家Beethovenなのだから。

この日は通しリハだったこともあり、各楽章を一度通し、
主にダイナミックやテンポを数か所確認する程度。
Mehta氏は若かりし頃ウィーンで指揮を勉強していたため、ドイツ語も堪能。時々冗談を交え、穏やかな雰囲気の中行われました。良い意味の緊張感と、ステージ上のだれもが「音楽を楽しむ気持ち」「音楽への喜び」が感じられ、改めて音楽に対する
姿勢を学ぶ機会となりました。

二日目。朝9時45分に楽屋口でウィーンフィルハーモニー管弦楽団ヴァイオリン奏者へーデンボルク和樹さんと待ち合わせ。昨日に続きお世話して頂きました。
今日は演奏会のためウィーン入りしているピアニスト梯剛之さんも同行することに。

本日の曲目はSchumannピアノ協奏曲1番、そしてBeethovenピアノ協奏曲3番。
オーケストラ=ウィーンフィール、指揮=Zubin Mehta氏、
ピアニスト=Daniel Barenboim氏。
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第一回目のリハーサルと言うことで、各楽章を細かく確認。
そしてBarenboim氏も自身が指揮者と言うこともあり、時折自ら指揮台に上り、Mehta氏と楽譜を見ながら意見交換。
聞こえてくる話を聞いていると、
楽譜に非常に忠実です。当然と言えば当然ですが
楽譜に書かれていることが全てであり、
それ以上のことはありません。

つまり、書かれていることの意味を
どれだけ読み取れるかが大切だと思います。

二日間のリハーサルを通して感じたことは
普段忘れがちなこと、
とてもシンプルなことでした。

音楽を愛せよ。そして楽譜に忠実であれ。
正にレッスンを受けた様でした。

今日と明日はいよいよ本番です。
どの様な演奏が聴けるのか、とても楽しみです。

余談ですが、リハーサル終了後、へーデンボルク和樹さんのご案内で
Barenboim氏と梯さんがご対面。
いつか二人の共演が見てみたいですね。
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(和樹さんと梯さん)